⑩大器晩成の道しるべ・・・ライバル出現!
最近、気づいていた。
『俺は、大丈夫だから・・・!』
時々、相談役の1人が、周りに、つぶやく声を・・・
今夜の遅番は、あの娘だった。
積極的に、アプローチしたが、乗って来ない。周りの相談役達の前で、手紙を、渡したからだ。僕の汚点である。
そして、今夜も・・・
『俺は、大丈夫だから・・・!』
今回。あの娘を、射止める為に、行動を起こすと、必ず、1人の相談役の態度が、変わり始める。視線・立ち振る舞い・・・わざと、暗号を、送るかのような表情を、周りの相談役達に、見せる。
『しまった・・・‼』
今更、手遅れだが、明らかに、あの娘の夫か?もしくは、彼氏だろう!?
アプローチを、断られても、致し方ない。
しかし、こちらも、黙って、『はい。そうですか。諦めます!』って、言うレベルの恋心じゃなくなっていた。
ライバル出現に・・・よりによって、相談役の1人とは・・・絶句する他に、何者でも無い。
あの娘が、初め、僕の気持ちを、傷つけずに、避けようとした理由が、ようやく、わかった。
正直。この先のビジョンが、浮かばない・・・真の前途多難な恋愛とは、こういう事だろう・・・
⑨大器晩成の道しるべ・・・接触!?
今日の生活訓練施設の午前の予定は、料理だった。
仲間と、グループホームの台所に、立ち、調理を、行う。
食堂へ着くと、『ほら、いるよ!?』
仲間に、あの娘が、ベランダで、洗濯物を、干しているのを、教えて貰った。
『風。強いから、洗濯物。飛んでっちゃうよ!?』
『あっ。はい!?』
たった、それだけの会話を、すると、あの娘は、いつの間にか、姿を、消した。
僕も、仲間と、料理の準備で、慌ただしく、もっと、会話したい気持ちを、押し殺して、姿を、消したことを、気づかぬふりをした。
正直。余り、会話するチャンスが、無い為、ほんの少しでも、会話出来ただけ、マシだと、我慢した。
『今日は、もう、会えないだろうか?』
会えば、会うほど、心は、ときめく・・・
『会いたい・・・声が、聴きたい・・・僕の側に、いてほしい!!』
今は、叶わぬ思いを、どこにも、ぶつけられず、午後の生活訓練に、とりかかる・・・
⑥大器晩成の道しるべ・・・独りの部屋。
夕飯が、済み、後片付け・歯磨き・・・
ようやく、僕の部屋に、戻れた。これから、僕の世界が、待っている。
部屋は、狭いが、独りで、寛ぐには、ちょうど良い。
エアコンを、利かせ、ベッドに、座り・・・
『さて、この前のページは?』
大好きな人の本を、バッグから、取り出し、手に取る。
本を、読み始めると、その世界に、没頭する。気がつくと、いつも、頭痛が、起きて、ギブアップして、本を、閉じる。こんな時、自分の病気を、恨んでしまう。
この病気だから、このグループホームに、入居出来たし、あの娘とも、知り合えたのに・・・
本を、読み終わると、決まって、仮眠を、取る。真夜中。SNSの独学を、するためだ。
しかし、今日は、よしておこう!?
あの娘の事で、頭が、いっぱいだ。
『明日。会えるだろうか?』
大人気なく、恋煩いだ。
大人になってから、今まで、本気で、好きになった人とは、結ばれた事が、無い。遊びの恋なら、山程あるのに・・・
だから、今度こそ、あの娘を、手に入れたい!?
大切に、したいから・・・
『この気持ちよ。どうか、あの娘の元へ届いてくれ!?』
今日は、頭痛と、戦いながら、あの娘との、会話を、思い出しながら、布団に、入る。